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2025年12月11日

x402 V2:インターネット決済の新標準

著者:Erik Reppel、Carson Roscoe、Josh Nickerson

x402 V2プロトコルのイラスト

TL;DR

6ヶ月の実運用を踏まえ、x402 V2はプロトコルを単一呼び出し・定額決済の枠を超えて拡張します。ウォレットベースのID管理(一度購入すれば再払い不要)、自動APIディスカバリー、動的な支払い先ルーティング、CAIPスタンダードによるマルチチェーン・法定通貨対応、そしてカスタムネットワークやスキームに対応した完全モジュール型SDKを追加。x402をよりクリーンに、より拡張可能に、より将来対応型にすることで、エージェントと人間の双方向に対応する統合決済モデルとウォレットベースアクセスを実現します。

注記:このアップデートは、V2仕様の提案に対する2週間のコミュニティフィードバック期間を経て公開されました。草稿をレビューしフィードバックをくださったビルダー、リサーチャー、各エコシステムのチームの皆さんに心より感謝します。x402はみなさんのおかげでより強固なものになっています。

プロトコルとx402 Foundationの独立設立に関する続報を近日お届けします。x402のリファレンスSDKはV1と完全な後方互換性を保っています。

なぜx402はV2を必要としたのか

x402は2025年5月、シンプルなアイデアからスタートしました。長年使われていなかったHTTP 402ステータスコードを活用し、決済をHTTPに直接組み込むというものです。わずか数ヶ月で、API・アプリ・AIエージェントを通じて1億件以上の決済を処理し、有料APIコールから、コンピューティングリソースやデータをオンデマンドで購入する自律エージェントまで、あらゆるユースケースを支えるインフラとなりました。

V2は、x402が6ヶ月間にわたってリアルワールドの決済を行う中で得た知見をもとに仕様を進化させます:

  • クライアント・サーバー・ファシリテーター・x402リファレンスSDKの役割をより明確に分離
  • データ型定義を調整し、明確性を高め、冗長性を削減。新チェーンへの実装を容易化
  • 「Extension(拡張)」の概念を正式化し、フォークなしでx402を実験・拡張しやすく
  • HTTPトランスポートにおける決済データをすべてヘッダーに移動。402ステータスコードとPayment Requiredヘッダーと並行してレスポンスボディを自由に利用可能に
  • モジュラー・コンポーザブルなアーキテクチャに向けたx402リファレンスSDKのゼロベース再構築
  • リファレンスSDKを@x402 npmオーガナイゼーションへ移行

同時に、x402のミッションは変わりません。人間であれ、アプリであれ、エージェントであれ、あらゆるアクターが情報と同じくらいシームレスに価値をインターネット上で動かせるようにする。

x402 V2は、インターネット経済の次のステージが求めるものに応えるよう設計されています。V1の成功要因を維持しながら、よりクリーンで、より相互運用可能で、より将来対応型のプロトコルへと再構築します。

x402 V2プロトコルレイヤーの図解

新機能

V2は、ネットワーク・トランスポート・ID管理・支払い方式を横断して、プロトコルをより汎用的・柔軟・拡張可能にするメジャーアップグレードです。仕様はよりクリーンでモジュラーになり、CAIPおよびIETFヘッダー規約などのモダンスタンダードに準拠。オンチェーンとオフチェーンの双方に対応する単一の決済インターフェースを実現します。

1. 統合決済インターフェース

x402 V2はネットワークとアセットの識別方法を標準化し、チェーンをまたいでレガシー決済レールとも連携できる単一の決済フォーマットを実現します。

  • デフォルトでマルチチェーン:Base・Solana・その他チェーン・新興L2のステーブルコインおよびトークンをカスタムロジック不要でサポート
  • レガシー決済レールとの互換性:ACH・SEPA・カード決済向けファシリテーターが同じ決済モデルに統合
  • 動的なpayToルーティング:リクエストごとにアドレス・ロール・コールバックベースの支払い先ロジックを設定可能。マーケットプレイスやマルチテナントAPIに最適。入力に応じた動的プライシングも実現
  • 破壊的変更なし:コア仕様を変更せずExtensionで新機能を追加

これが意味すること:x402は、従量課金・サブスクリプション的・プリペイド・マルチステップのワークフローをすべて、APIアーキテクチャの変更やコア仕様のアップグレードなしに実現できる柔軟な経済レイヤーになります。

2. 拡張可能なアーキテクチャと幅広い互換性

V2はプロトコル仕様・SDK実装・ファシリテーターの役割を明確に分離し、プラグイン駆動型かつ将来対応型のプロトコルを実現します。

  • 安定した仕様:新しいチェーンや決済動作の追加にコア仕様やリファレンスSDKへの変更不要
  • プラグイン駆動型SDK:開発者はSDK内部を編集せず、チェーン・アセット・決済スキームを登録するだけ
  • ライフサイクルフック:決済フローの重要なタイミング(送金前後・決済検証前後など)にカスタムロジックを注入可能。条件付き決済ルーティング・カスタムメトリクス・複雑な障害回復メカニズムなどを実現
  • モダン化されたHTTPヘッダー:非推奨のX-*ヘッダーを廃止し互換性向上。PAYMENT-SIGNATUREPAYMENT-REQUIREDPAYMENT-RESPONSE(近日対応)・新規SIGN-IN-WITH-Xヘッダーを採用

これが意味すること:x402 V2はプラグアンドプレイ型プラットフォームになります。誰でも新しいチェーン・ファシリテーター・決済モデルをスタンドアロンパッケージとして追加でき、プロトコル本体を変更する手間や調整コストが不要になります。

3. ウォレットベースアクセスと再利用可能セッション

V2はIDとアクセス管理に関わるコンポーネントを再構築し、より効率的なセッション管理の基盤を整備。サーバーサイドアーキテクチャを高い柔軟性で実現します。

  • モジュラーペイウォールパッケージ:ペイウォールを完全に刷新し、専用のモジュラーパッケージ@x402/paywallとして分離。EVM・Solanaビルトインサポートで、新しい決済バックエンドや独自のペイウォール実装を簡単に追加可能
  • 再利用可能アクセスの基盤:V2プロトコルはウォレット制御セッションやその他のID形態をサポートするロジックを内包。一度購入したリソースへの繰り返しアクセス時に、オンチェーンインタラクションなしで全決済フローをスキップ可能
  • サブスクリプション・セッションパターンの実現:このアーキテクチャにより、人間ユーザーと自律エージェントの双方に向けたサブスクリプション的・セッションベースのアクセスパターンが可能に
Sign-In-With-X(SIWx)について:専用のSIGN-IN-WITH-Xヘッダー(CAIP-122準拠)を含む完全なウォレットベースID機能は、直近のファストフォローリリースとして提供予定です。これにより、再利用可能セッションへのウォレット制御アクセスを証明する最初のExtensionが完成します。

これが意味すること:サーバーサイドの開発者体験が向上し、低レイテンシー・ラウンドトリップの削減・繰り返し呼び出しのコスト削減という恩恵が得られます。これらの効率化により、リクエストごとの支払いが遅すぎる・高すぎる高頻度ワークロード(LLM推論・マルチコールエージェント・複雑なアプリケーションなど)でのx402活用が現実的になります。

4. 自動ディスカバリーと動的サービスメタデータ

V2のDiscovery Extensionにより、x402対応サービスはファシリテーターがクロールできる構造化されたメタデータを公開できます。

  • ファシリテーターが利用可能なエンドポイントを自動インデックス化
  • 価格・ルート・メタデータが自動的に最新状態を維持
  • 手動更新やハードコードされたカタログが不要に

これが意味すること:Discovery Extensionにより、より自律的なエコシステムが実現します。セラーはAPIを一度公開するだけで、開発者の介入なしにファシリテーターが自動同期します。

5. 開発者体験の向上とマルチファシリテーターサポート

V2は設定を大幅にシンプル化しながら、マルチファシリテーターサポートをファーストクラスに格上げします。

  • サポートするチェーン・アセット・決済モデルを登録するだけ。SDKの内部ハックは不要
  • ビジネス要件を宣言的に指定(「Solanaを優先」「メインネットを避ける」「USDCのみ使用」など)
  • 複数のファシリテーターを同時使用。SDKが最適なものを自動選択
  • 複雑な決済環境向けのよりクリーンなフィルタリング・選択ロジック

これが意味すること:開発者はグルーコードを書く時間を減らし、ビジネスロジックに集中できます。SDKがチェーン選択・ファシリテーター探索・決済ルーティング・スキーム選択の複雑さをすべて処理します。

さっそく試してみよう

x402プロトコルV2は、インターネット上での価値移動を情報と同じくらい容易にするための次の一歩です。互換性の拡大、開発者体験の簡素化、新しい決済・ID管理モデルの実現により、V2はx402を人間・アプリ・エージェント主導の決済に向けた、より柔軟な層へと変革します。

エコシステムの成長とともに、ビルダーが何を生み出すのか楽しみにしています。